ハーモニック・ドライブ・システムズ 創立50周年

50周年によせて

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左:代表取締役会長 伊藤 光昌  
右:
代表取締役社長 長井 啓

代表取締役会長 伊藤 光昌

2020(令和2)年11月、株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズは、創立50周年を迎えました。この記念すべき日を迎えることが出来ましたのは、創立時に苦労を重ねられて当社の基礎を作られた多くの先輩諸氏、社員およびそのご家族の皆様、協力会社の皆様、お得意先の皆様、安曇野市在住の皆様および市の関係諸氏、多くの方々のご努力とご支援の賜物であります。ここに心よりの感謝を申し上げます。

1970(昭和45)年2月ドイツ フランクフルト・アム・マイン市で、株式会社長谷川歯車 代表取締役副社長(当時)長谷川喜一郎氏に友人の紹介でお会いしました。

United Shoe Machinery Corporation(以下USMCo.)を訪問してボストンから欧州経由での帰途、立寄られたのです。

彼からは、何事かを成し遂げようとの強い意志が感じとられ、その発言は自信に満ちていました。彼の考えるハーモニックドライブ®の世界戦略について、サンプルを片手に、ボストンでUSM Co.と話し合ったことを熱意を込めて語ったのです。そして、私は、彼の地球を俯瞰した事業戦略に、これが実現したら素晴らしい事業に発展すると確信しました。それが私の長谷川喜一郎氏とハーモニックドライブ®との出会いでした。

同年6月再度ボストンからの帰途、長谷川喜一郎氏は、フランクフルトに立ち寄られました。今回のUSM Co.との話し合いで、株式会社長谷川歯車とUSM Co.との間で正式に日本とドイツに合弁会社を設立することが決定されて、この時点で、私は、株式会社長谷川歯車の社員として、ドイツに設立されることになった合弁会社の設立準備と設立後の運営に従事することになりました。

それから50年、半世紀の歳月が流れました。当初、私は、ハーモニックドライブ®を減速機の一種と理解していたために、その価値を正当に認識できませんでした。1970年代は、私にとって試行錯誤の10年でありました。ドイツにおいて精密制御市場が、ハーモニックドライブ®という製品の存在で、お客様のご要望に応える形で、形作られてきた1970年代末頃より、この製品が、いかに無限の可能性を持った未来を拓く製品であるかを自覚するようになったのです。そして、人生においてこの様な製品と出会えたことはまさに僥倖であり、私は、そのことに心より感謝しました。

精密制御市場は、ハーモニックドライブ®の存在によって、我々の先輩諸氏、社員一同の血のにじむような努力と、そしてお取引先様、協力会社様等、多くの方々のご支援により創造されて、現在に至っております。我々は、この事実に誇りを持ち、精密制御市場をさらに進化発展させ、次の50年、半世紀の社会に貢献する使命を帯びている事を、改めて認識いたします。

2021年7月吉日

代表取締役会長 伊藤 光昌

代表取締役社長 長井 啓

株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズは、2020(令和2)年11月10日に創立50周年を迎えることができました。企業として50周年という節目を迎えることができましたことは、ひとえに皆様の御愛顧、御支援の賜物と、心よりお礼申し上げます。

当社のこの50年間の歴史は、我々の先達そして今も当社に在籍している社員の皆様が開発、製造、販売面での語り切れないほどの試練と苦労を乗り越えてきた日々の記録であります。

またこれを成し遂げるためには、社員の御家族やお客様、協力企業の皆様の温かい御支援があったことも忘れてはなりません。私事になりますが、この慶事を社長として皆様と一緒に祝えることを、大変幸せに思います。

我々が歩んできた50年の足跡が、この50周年記念社史と技術史にDVD映像などと共に詳細に語られております。また当社の社史は単なる節目としての刊行物ではなく、日本のみならず世界の精密減速機の産業史ともいえるものであり、大いに誇りに思えるものであります。

当社の歴史は一言でいえばC.ウォルトン・マッサーが1955(昭和30)年に出願した特許をもとに、今日のハーモニックドライブ®製品群の形に進化させてきた会社の総力の歴史でもあります。これからはこの稀有なひとつの発明がどうやって生き延びていくのか、いけるのかが我々にとっても大きな課題といえます。

進化論で知られるダーウィンが言ったといわれる『強いものが生き残るのではなく、環境の変化に適応できるものが生き残るのだ』という言葉があります。ハーモニックドライブ®も10年近く用途も見つからない、いわば暗黒の時代があり、その後産業機械類の駆動が油圧から電動に代わった頃を契機に当社の製品用途は急速に広がってゆきました。工作機械、産業用ロボット、半導体製造装置、液晶製造装置、そして21世紀に入ってからは携帯電話やパソコン、タブレット端末の組み立て工程、手術支援ロボット等、例を挙げればきりがありませんが、我々が今日まで生き残れてきたのは我々を取り巻く環境の変化に当社が対応することが出来てきたからに他なりません。これが当社の本当の強みでもあります。

50周年を迎えた当社ではありますが、本年を51年目として迎えるのではなく次の50年に向けたゼロ歳児とみなし、当社製品の産業界や社会における役割を今一度見直し、そのうえで今まで以上にQCDSを意識した正しいものづくりに取り組んでまいります。

今日まで、御指導を頂きました関係各位に感謝申し上げますと共に、今後も引続き、御支援、御指導を賜りますよう、お願い申し上げます。

2021年7月吉日

代表取締役社長 長井 啓